第三者行為損害賠償求償事務

第三者行為損害賠償求償事務とは?

 第三者の不法行為※(交通事故)により負傷した被保険者は、その治療費を保険給付として受けた場合は、直ちに被害の状況等を保険者に届け出なければならない義務があります。(国保法施行規則第32条の6、高確法施行規則第46条、介護法施行規則第33条の2)
 保険者は、第三者の不法行為により保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする)の限度において被保険者が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得します。(国保法第64条、高確法第58条、介護法第21条)
 そして、保険者は、保険給付と被保険者に対して有する損害賠償請求権とを調整し、第三者に対し損害賠償請求を行う法的制度であり、これらに係る事務を行うのが、第三者行為求償事務です。(国保法第64条損害賠償求償権)
※民法第709条において、故意または過失によって他人の権利を侵害する行為

 法律名の略   国民健康保険法…国保法
         高齢者の医療の確保に関する法律…高確法
         介護保険法…介護法

         
 

第三者行為求償事務根拠法令(抜粋)

〔国民健康保険法施行規則
 第32条の6 
 給付事由が第三者の行為によって生じたものであるときは、被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員は、その事実、当該被保険者の氏名、当該被保険者が退職被保険者等である場合にあってはその旨、第三者の氏名及び個人番号、住所又は居所(氏名又は住所若しくは居所が明らかでないときは、その旨)並びに被害の状況を直ちに、保険者に届け出なければならない。
 
 
〔高齢者の医療の確保に関する法律施行規則〕
 第46条 
 療養の給付に係る事由又は入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給に係る事由が第三者の行為によって生じたものであるときは、被保険者は遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を後期高齢者医療広域連合に提出しなければならない。
  1 届出に係る事実
  2 第三者の氏名及び住所又は居所
    (氏名又は住所若しくは居所が明らかでないときは、その旨)
  3 被害の状況
 
 
〔介護保険法施行規則
 第33条の2
 
介護給付、予防給付又は市町村特別給付の支給に係る事由が第三者の行為によって生じたものであるときは、第一号被保険者は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を、市町村に提出しなければならない。
  1 届出に係る事実
  2 第三者の氏名及び住所又は居所
    (氏名又は住所若しくは居所が明らかでないときは、その旨)
  3 被害の状況
 
 
〔国民健康保険法〕
 第64条
 保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。次条第1項において同じ。)の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
 2 前項の場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責を免れる。
 3 保険者は、第1項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を第45条第5項に規定する国民健康保険団体連合会であって厚生労働省令の定めるものに委託することができる。
 
 
〔高齢者の医療の確保に関する法律〕
   第58条 
   後期高齢者医療広域連合は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、後期高齢者医療給付(前条第2項の規定による差額の支給を含む。以下同じ。)を行ったときは、その後期高齢者医療給付の価額(当該後期高齢者医療給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第1項において同じ。)の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
 2 前項の場合において、後期高齢者医療給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、後期高齢者医療広域連合は、その価額の限度において、後期高齢者医療給付を行う責めを免れる。
   3 後期高齢者医療広域連合は、第1項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を国保連合会であって厚生労働省令で定めるものに委託することができる。
 
 
〔介護保険法〕
   第21条
 市町村は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
  2 前項に規定する場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、市町村は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。
  3  市町村は、第1項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を国民健康保険法第45条第5項に規定する国民健康保険団体連合会であって厚生労働省令で定めるものに委託することができる。
 








 

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